野山の植物を楽しむ

上帝釈と帝釈国民休暇村、東城町為重での植物観察

2020.03.19

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上帝釈 雄橋まで

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日朝先生の話を聴きながら、自然観察を楽しむ。楽しみ方は自由。それぞれに、みんな楽しんでいる。

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     クモノスシダ（蜘蛛の巣羊歯

    チョウセンシダ科   チョウセンシダ属 

 　茎は短く、長さ20㎝ほどの葉をロゼット状に伸ばす。葉の先端は細く蔓状になって伸び、基盤に着くとそこから芽を出す。名は、それらの様子をクモの巣に見立てたことによる。ほとんどの場合石灰岩の岩上に着生する。     分布は北海道～九州と広いが、生育条件が限られており個体数は少ない。シダの仲間なのであまり目立たないので、上帝釈では必ず通る所なのに、個人花行動では素通りしてしまう。写真左上は着生した様子だが・・・・。

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   ヤマネコノメソウ（山猫の目草）

ユキノシタ科  ネコノメソウ属

    早春より咲く。花茎の高さは、20～20㎝。茎葉は1～2個が互生し、長い葉柄があるのが特徴。葉身は円腎形で幅15～25㎜、縁は浅く切れ込む。基部は心形。花序は径2～3㎝で6～10個の花を密に付ける。花は径4～5㎜、４枚の萼裂片は淡緑色で倒卵形、平開するが花後に直立する。雄しべは4～8個あってごく短い。裂開前の葯は黄色。種子は黒くて楕円形。花後茎の基部に零余子を付ける。走出枝はない。

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春。水ぬるむ帝釈川の穏やかな流れ。

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     カテンソウ（花点草） 

イラクサ科  カテンソウ属

   いっぱい生えているのに認識しずらい植物。湿った川沿いや山野の林下に群生する。花は小さく目立たないからいっぱしに拡大したら、この植物のイメージと全く合わなくなった。写真は長い柄の先の雄花序。正午を過ぎた頃から花粉を散らす。雌花序は葉腋にあり目立たない。

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  ヤマアイ（山藍）

トウダイグサ科  ヤマアイ属

  本州、四国、九州に分布。山野の林縁等。草丈20～50㎝。茎はときに越冬し、直立。無毛。葉は対生し、3～12㎝、鋸歯があり、濃緑色でやや光沢がある。花期は1～7月。雌雄同株または異株で、密な穂状花序は葉腋に付く。さく果はしわがあり、成熟すると2裂する。撮影時に雄花と雌花を意識する余裕はなかったようだ。  名は、いわゆるアイは畑で栽培されるのに対して、山に自生することによる。古代緑色の染料として用いられた。

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  アオイスミレ（葵菫）

スミレ科  スミレ属

   丘陵や低山、沢沿いの林縁。最も花期の早いスミレのひとつで、うっかりしていると出会う機会を失う。早春にふさわしい清楚な花を咲かせ、心を和ませる。名は、葉の形が〝フタバアオイ〟に似ることによる。高さ３～８㎝、全体に毛が多い。葉は円心形で長さ約２㎝、花後大きくなる。新葉は葉の両側が丸まって二本の筒が平行に並んでいるように見える。花は１～１.５㎝で、淡紫色。白色に近いものも多い。全体に波立つ感じで、上弁は反り返り、側弁は有毛（写真）で閉じ気味、唇弁は紫色の条がある。距は３～４.５mm、大きくてずんぐりしている。萼片は丸みがあり有毛。

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 イブキスミレ（伊吹菫）

スミレ科　スミレ属　

　本州の一部（広島県以北）と北海道の一部（火山灰地や石灰岩地）に隔離分布する希少種。落葉樹林帯を好み、生育地では比較的群生する。花期３末～５月初。草丈は８～１２㎝。花色は、淡紫～ほとんど白色のものまである。唇弁に濃紫色の筋が入る。花茎1.5～2㎝と比較的大きい。花柱の先が細くなり下方にかぎ型に曲がる。側弁の基部に毛が密生する。距は白色、太目で短い。

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   スズシロソウ（蘿蔔草） 

アブラナ科  ヤマハタザオ属

   スズシロとは大根のこと。名は、大根の花に似ているから。本州近畿地方以西～四国、九州。山地の谷沿いや湿り気のある山の斜面等に生える。石灰岩地に多い。草丈は１０～２５㎝。多くのランナーを伸ばして地を這う。根生葉は３～７センチ倒卵状のヘラ型で、茎葉は１～２㎝で荒い鋸歯がある。花は総状花序になり、数個の白色の４弁花を付ける。花茎１㎝ほど。

   今年は３月１日に鯉が窪を訪れた時から、何度かこの〝スズシロソウ〟に出会う機会があったが、そのたびに株が大きくなり花数が増えていく様子を観察することが出来た。今は群生し春を謳歌しているようだ。よく見るとかわいい、うれしくなる花と思う。

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鬼 の 唐 門

   〝スハマソウ〟を主な観察目的として『鬼の唐門』をくぐる。くぐりぬけて唖然。お目当ての〝スハマソウ〟は、人の手の届かない、撮影しにくい所にだけ咲いていた。盗掘や無理な撮影による足の踏み込み等で、高さ２ｍ以下の生育地は荒れ放題のよう。このあたりの花はどこへ行ったかしら。

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    スハマソウ（洲浜草） 

キンポウゲ科  ミスミソウ属

   山野の落葉樹林内。草丈は１０～１５㎝ほど。本州と四国に分布する。ミスミソウの変種とされ、よく似ている。根生葉は常緑で光沢がない。葉身は３浅裂し先はあまり尖らない（ミスミソウは尖る  にぶい光沢がある）。   花期は３～４月。花は茎の先に単生し、径１㎝ほど。萼片は６～８個で、花弁はない。花のすぐ下に茎葉（苞葉）が３個付く。花色は、当地のものはほとんどが白色。以前、当地上帝釈峡の「養魚場」をさらに登った所で、淡紅色のものに出会った記憶があるが、写真が見当たらない。太平洋側には白色が多く、日本海側には紅紫～紫～瑠璃色があり変化に富んでいる。

当地のものは、今まで〝スハマソウ〟と認識していたので、『私の植物手帳』ではその名を使っている。

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 レンプクソウ（連福草） 

レンプクソウ科  レンプクソウ属

   山地の木陰や林内に生える。草丈５～１５㎝。全体に細く柔らかい。白色の細く長い地下茎があり、それを横に伸ばして球径を作って増える。根生葉は１～２個出て、２回３出複葉、小葉は羽状に中裂し、裂片は鈍頭。茎葉は１対で３裂する。花期は３～５月。５個の花が頭状に集まって付く。花序の中で、別名 [ゴリンバナ]  。花は黄緑色、ほぼ無柄で径４～６ｍｍ。頂部の花と側部の花は形が違う。（頂部のもの→萼が２裂、花冠が４裂、雄しべが８個。   側部の４花→萼が３裂、花冠が５～６裂、雄しべが１０～１２個となる。花柱は３～５裂する。）果実は１～５の核果が集合。花は見てみたいが、ここまで観察できるだろうか。名は、長い地下茎にフクジュソウが続いてきたのを見た人が「連福草」と言い出したからとか、形の違う５花のまとまった様子を見て「連福を思った」とか言われている。

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 コチャルメルソウ（小ちゃるめる草）

ユキノシタ科  チャルメルソウ属

   同属のチャルメルソウに比べて小型。花期は４～６月。花茎は２０～３０㎝になり、茎葉はなくその先に２～１０個の小さな花を総状花序に付ける。花弁は５個、紅紫色または淡黄緑色、長さ４ｍｍで羽状に細く７～９裂して「魚の骨状」になる。雄しべは５個、花柱は２個で短い。

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シロバナネコノメソウ（白花猫の目草）

ユキノシタ科  ネコノメソウ属

   本州近畿地方以西、中国地方、四国、九州に分布。樹林下の沢・川沿い等の湿地。全体に白い軟毛を密生し、走出枝を伸ばす。根生葉は花時に枯れる。茎葉は対生し、扇形～円腎形、5～9個の半円形の鋸歯がある。花期は4～5月。茎頂の苞葉は小さく、萼裂片は白色で先が尖る（後に緑化）。雄しべは8個で暗紅色（後に黒紫色）。

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   ユリワサビ（百合山葵）  

アブラナ科  ワサビ属

   地下の根茎はワサビより細く短い。花期は３～５月。茎の先端に短いまばらな花序を付ける。スズシロソウと混生することもある。花は小さい。

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    ニワトコ（接骨木　庭常）

 レンプクソウ科  ニワトコ属

　スイカズラ科 → レンプクソウ科。   漢字名[接骨木]は、「枝や幹を煎じて水飴状態になったものを、骨折治療の際の湿布剤として用いたため」とされている。4～5月、円錐花序に白く小さな花を多数付ける。また、6～8月には、暗赤褐色に熟す。

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　当地では、〝アブラチャン（クスノキ科 クロモジ属）〟と〝ウグイスカグラ（スイカズラ科 スイカズラ属）〟を観察したが、撮影した画像があまりにも悪くて掲載出来なかった。

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帝釈峡 国民休暇村

当地へは、〝アテツマンサク（  マンサク科  マンサク属）の花を観察する目的だけで立ち寄ったが、画像があまりにも悪くて掲載できなかった。

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東城町 為重 （ミチノクフクジュソウ公開地）

ミチノクフクジュソウ（陸奥福寿草） 

キンポウゲ科  フクジュソウ属

参照     『〝ミチノクフクジュソウ〟を見に行きました』

当日は、萼片の位置と長さ（写真左上）、雄しべとの形と様子、雌しべの集合体（左下）だけ確認しました。   

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   アマナ（甘菜）

ユリ科  アマナ属

    為重の観察も時間を少し気にしての急ぎ足だったのかな。気が付いたら列の最後尾を歩いていた。と、ある同行者の方が見つけて「アマナがあるよ」教えてくださった。アマナには久しぶりに出会えたのでうれしかった。のんびり歩いていてよかった。名は、球根が甘く食用になることによる。

   地下に広卵形の球根。葉は、地下に残る茎の中ほどに付くので根出葉に見える。長さ10～25㎝、線形で同じ大きさのものが向かい合う。中央がくぼんでU字形、全体に粉白色。花茎15㎝の先端に、白い花を一つだけ付ける。花の下に一対の苞があり、葉状で緑色。花被片は６個、披針形で先端がやや尖る。白で背面に紫色の筋。上、ないしやや斜めに咲く。雄しべは６個、葯は黄色。晴れた日はよく咲くが、曇りの日は閉じてしまう。

おしまい