2010. 5.30
礼文島香深フェリーターミナルに着いたが、このあたりの写真がなんにもない。
船内や接岸の様子、船から見える景色も頭にはあるが写真がない。
いつもアホ面して辺りの様子を見ているだけ。今頃になって「ああ、もったいない」と悔やむ。
で、車ごと下船してそのまま海岸線を走ったり止めたりで、観察開始。
これが分からない。最初から分からない。今も分からない。 A
ヒナゲシの仲間だろうが、花色からリシリヒナゲシではないし、果実の形からナガミヒナゲシでもなさそうだし。
下船後すぐの砂利道脇に群生していた。
キク科 フキ属
車道沿いの草むらにびっしり生えている。北海道と本州岩手県以北。葉は径1.5m、葉柄は2mにもなり、フキと比べると巨大。食用にされるのは本種の方が多く、栽培もされている。雌雄異株。写真は雌株の雌花で、花が白っぽい。雄株の雄花は黄色っぽい。
キンポウゲ科 オダマキ属
高山植物ではあるが平地でも栽培しやすく、園芸品種として改良されている。本種はそれにあたる。多分、花壇から道端や玄関先に逃げたもの。でも、それを大切にしていることがわかる。早池峰山等で出会ったものに比べると、色も濃く、がっしりして力強い。
バラ科 バラ属
梨に似ている。? 根は染料に、花はお茶に、果実はローズヒップとして食用になる。ちなみに、ヒップはお尻ではなくそれ自体バラの果実の意味らしい。念のため。
道路脇の一画で、こんな美しく咲いた花と近株の果実を同時に見ることが出来た。
海面から数mしか離れていないところに根付く。科は異なるが多肉質、まさに浜弁慶か。
ムラサキ科 ハマベンケイソウ属
海岸近くの砂や礫の上を横になって広がり大きな株になる。全体青白色を帯び、多肉質。花期は7~8月。花序は枝先に付き、青紫色の花を垂らして付ける。
ゴマノハグサ科 ゴマノハグサ属
花期6~7月。茎の先によく分枝する円錐花序を付け、多くの花をまばらに付ける。花冠は淡黄緑紫色で、長さ8~10mm、壺形で先は唇形になり、上唇は紫褐色が強く2裂、下唇の色はやや薄く3裂、下唇の中央片裂は反り返る。 (④スカイ岬~召国分岐~草すべり)を参照
ハエドクソウ科 サギゴケ属
葉がほぼ一年中あって(常葉)、果実が熟して爆ぜる。全国、畑や道端。花期は長く、初春~晩秋。花は筒状で、下側が前に平たく伸びた唇形花。上唇は浅く2裂。筒の部分は薄紫色、舌状部は白っぽく先が3裂。その中央部分は、黄褐色。雄しべの先は2裂し、触ると閉じる。
道端、駐車場脇、草むら等、所々に小群生し、咲く姿は愛らしい。
アオイ科 ジャコウアオイ属
ヨーロッパ原産、観賞用で世界中で栽培。日本では明治時代に移入され次第に野生化。草丈30~70㎝、夏期に咲く。花色は淡紅色もしくは白色。葉は変化が大きいがふつう切れ込む。名は麝香の匂いがするため。
花期は8月。頭状花序は径3.5~4.5㎝。茎先に数個~30個が散房状に付く。頭花は周辺の1列の舌状花と中の筒状花からなる。舌状花は黄色で、長さ17~24mm。北海道と本州青森県。海岸の砂浜に生育する。 実際写真(上)のように、満潮になれば海水に浸かるような所である。
海岸線の植物観察を終え、『桃岩、猫岩』歩道の駐車場に着く。桃岩歩道の観察開始。
ハナシノブ科 ハナシノブ属
分布は北海道、高山の草地・林縁。といっても、ここは海岸からも近い駐車場から歩いてほどなくの登山口。 お花畑が待っている。花期6~7月。草丈は30~80㎝、花はまばらに付く。花冠は淡青紫色で、長さ1.8~2㎝ほど。
ナデシコ科 マンテマ属
花期は7~8月。高さ15~80㎝。花は紅紫色で、径1.5㎝ほど、花弁の先は2裂する。雌雄異株、萼筒が雄花は円筒形、雌花は長卵形。知らないで撮るから見逃してしまう。 写真(右)シロツメクサと混生
北海道、東北地方以北。亜高山~高山帯の日当たりのよい草地や砂礫地等に生える。高山植物だが、ここでは難なく出会うことが出来る。高さ20~50㎝。花期は6~8月。花は5弁花で、茎の先に径3㎝ほどの青紫色の花を多数咲かせる。花弁の基部や萼片に長い白毛がある。
バラ科 ヤマブキショウマ属
雌雄異株。写真(上)が雄株の雄花、雄しべが20と多数あり、全体がふっくらとして見える。写真(右)が雌株の雌花で、雌しべは3、全体に細く見える。
マメ科 レンリソウ属
湿地、草地、原野等に生える。
草丈は30~70㎝、葉は菱形状広卵形で茎頂3枚が輪生。 花期は5~6月、茎頂に径5~7㎝の白い大きな3枚の花弁を付ける。花の中央に子房があり6本の雄しべが取り囲む。 北海道大学の敷地内、北キャンパスの原生林内に群落を見ることが出来る。同大学では、オオバナノエンレイソウを図案化したものを校章に採用している。
ナデシコ科 ナデシコ属
萼片は2~3㎝なのが特徴。比べて、同属のカワラナデシコは、苞が3~4対あり、萼片が3~4㎝と少し長い。7月にはポツポツと咲いていたのが、8月には大きく群生していた。
この光景には驚いてしまった。
この花が〝ヨツバシオガマ〟の品種と聞いてまた驚いてしまった。
(最近になって、ヨツバシオガマと区別するという説も時に見聞きする 2022.01.15)ゴマノハグサ科 シオガマギク属
ヨツバシオガマの品種だが、同一のものとは思えないほど豪華。ヨツバシオガマは、北方のものほど草丈が高く花数が多くなり、また紅紫色の花色も濃く鮮やかになり、全体として豪華に感じるようになる。
そこで、北海道と東北に分布するものを〝ハッコウダシオガマ〟といい、礼文島のものは特に大きく、葉が5、6枚輪生し、花が十段以上付くものを〝レブンシオガマ〟ということががある。今回はそれにならった。花は下の段から徐々に咲く。花を通した先の景色は、どこをどう見ても美しく感じる。
北海道のものは同一品種であっても大型化するものがある。本種もイブキトラノオの品種。
花期は7~9月。海岸~高山の草原。草丈はやや高く、花穂も長く花数が多い。花は白~淡紅色で5深裂し、長さ3㎜ほど。雄しべは8個。比べてやはり大型で豪華。
北海道~青森の、高山の草原や海岸に生える。花期は7~9月。草丈は30~70㎝。
茎頂と葉腋から散房花序をつくり、頭状花を多数上向きに付ける。 頭花は1~1.5㎝。舌状花は6~8で、白~淡紅色。
セリ科 オオカサモチ属
茎は直立し、太くて中空。高さは1.5mにも及ぶ。花期は7~8月。茎頂と分枝した先端に大型の複散形花序を付け、十数個の小散形花序を付ける。小散形花序には、二十数個の径3mmになる小さな白い5弁花が付く。 背景は日本海。
セリ科 ハナウド属
オオハナウドもこれだけ群生すると豪華。同定の難しいセリ科にあって、花序の外側の花弁だけが形が違い大きい(写真上)ことから、間違えることはない。日本海を背景にして、どっしりとしている。
ここでは群生を避け、草原の中で共生しながら存在感を示す。 (第一部 参照)
白山にちなみ、花の付き方が千鳥の飛ぶ姿に似る。? 北海道、中部地方以北の高山帯の湿り気のある場所に生える。草丈は10~40㎝、夏期は6~8月、茎の先端に総状花序をつくり、赤紫色の花を多数付ける。花色には個体差、地域差が見られるが概して北方のものほど大型で花数も多く花色は濃い。まれに白花の個体もある。花冠は唇形で、先端は3裂する。
キク科 ウスユキソウ属
北海道の固有種。高山と礼文島に限定。日本に5種ある中のひとつ。地下茎からロゼット状の葉と直立した花茎を出す。花のように見えるのは苞葉。頭花は黄色い筒状花のみ。全草白い綿毛が密生しているのを薄雪に見立てた。 別名(エゾウスユキソウ)
タデ科 イブキトラノオ属
本州中部地方以北。亜高山~高山の日当たりのよい草地。穂状花序、白~淡紅色の花を付ける。下部のものは零余子になり、穂軸から落ちて新苗となり繁殖する。花は終わっても結実することはない。
ナデシコ科 マンテマ属
ヨーロッパ原産、明治時代観賞用に移入され、逸出したものが帰化植物として定着。本州以北、まれに全国。本来道路脇等に進出。当地などで観察されるものではない。芳香のある、径2㎝の白い花。
ラン科 ツレサギソウ属
名は高山に生えるトンボソウの意味。昆虫にも同名タカネトンボがいるのでややこしい。本州の中部以北、高山の湿った草原や林縁。花茎の先に総状花序、花は淡黄緑色で径3~4㎜の小さな花を数個~10数個ほど付ける。
ユキワリソウの変種で礼文島に自生する。主には、礼文島の桃岩展望台周辺や桃岩歩道等で見ることができる。 写真下2枚は A ツアーで5月末に訪れた時のもの。生えそろわない草地の中で、そこだけ明るく輝いていた。写真上1枚は、B 7月初、個人花行動の時のもの。株も大きくなっている。
(レブンアツモリソウ群生地)含む
ケシ科 キケマン属
草丈10~20㎝。同属のものをいくつか見てきたが、この花は総状花序の濃い青紫色だ。しかし、個体によってわずかな差異があり、それぞれが美しい。海の色を思わせる。
放射状に伸びた葉を雉が休む蓆に例えた。近似種にツルキジムシロ(匍匐枝50㎝ 大型)やエチゴキジムシロがあるが、この時点ではそこまで確認できていない。
ラン科 アツモリソウ属
北海道礼文島の特産で野生のラン。名は、これまた礼文島特産のアツモリソウの変種であることによる。本種の特徴は、花色が紫ではなく黄色であること。草丈は25~40㎝、花色は黄(淡いクリーム)色で、花期は5~6月。唇弁は大きく袋状で、長さ3.5~5㎝。側弁花は広卵形で先は短く細る。
じつは、礼文・利尻行きのきっかけとなったのが、この〝レブンアツモリソウ〟に会いたいという気持ちからだった。だが、上の写真。花期に若干早くて、自生地保護のため縄張りが設けられ望遠レンズを使って撮影したものだ。その時は、ちょっとがっかりしていた。『レブンアツモリソウに会いに行こう』という、2泊3日の阪急ツアーにうまく乗せられた感じだが、今考えるとそれがよかったように思える。その後2回の個人花行動につながることが出来たのだから。礼文、利尻島は、それだけの魅力ある所だと感じることが出来たのだった。
これは、7月になって個人花行動で再訪した時、植物園で見たもの。
目前でよく観察できたが、ここで見るのもなんだか寂しい気がした。
北海道の高山帯。花期7~8月。草丈30本地ほど。葉は長さ4㎝ほど、葉柄はなく披針形。当地では岩礫地に点在していた。
セリ科 ハマボウフウ属
海岸の砂地に自生する。根は、地中深く伸びる。北海道から南西諸島まで分布域は広い。『野山の植物を楽しむ』でも、近隣の仙酔島等で出会ったことがある。花期は5~7月、南方ほど早い。葉は肉質で光沢がある。花期以外は草丈は伸びない。
日本海を背景にして、オオハナウドの姿はいい。とてもいい。
再
写真 ←A ↑B →C
雌株の雌花 赤くなる
北海道、海岸の草地や岩上。高さ10~25㎝。岩上のものはどこに根を張るのかと思うほど。こんもりと花を付けた株が遠くからよく目立つ。
スカイ岬で大休憩後、これから少し海岸線を離れて歩く。エゾニュウ越しに見える日本海。
キク科 ノゲシ属
ゴマノハグサ科 ゴマノハグサ属
花期は6~7月。茎の先によく分枝する円錐花序を付け、花をまばらに付ける。
(野山の・・)で、四国の天狗高原や剣山で出会った〝ヒナノウスツボ〟に比べて少し大型。しかし、撮影しにくい植物には変わりがないようだ。よく花の拡大写真を撮っていたものだと、いまさらながら安堵する。
ここから林内、林縁を歩く
アジサイ科 アジサイ属
年と若干の季節を違えての近隣場所のもの。右はツルアジサイとはいえ絡むものがなく、草むらの上を這い伸びているもの。左上が通常の伸び方。
この8時間コースで、2回とも出会った。嬉しくて安心する花。
一個の花を下向けに付ける。果実として熟すに連れて上向きになる。花は白色で5弁花。径1㎝の広鐘形。ほぼ全国のやや乾燥した丘陵、海岸、山地の林内に生育。自身、帝釈峡(広島県)薬師堂で2回ほど出会っていたが、同定出来ず。だが、これで納得。当地のパンフにあった。
花冠はわずかに赤味を帯びた白色で、径8~9mm。花弁は5個、あまり開かない。雄しべは10個あり、長さ2mm、花柱の周囲を取り囲む。花柱は湾曲せずまっすぐ伸びる。
キク科 アザミ属
茎の高さは1~2m。まれに3m。近畿地方以北、北海道の日本海側の沢沿いや川の側。頭花は下向きで、大型の花を10数個。花は筒状花のみで紫色。
全国の山地~亜高山。同属のイチヤクソウに似るが、葉が丸いこと、花柱が湾曲する等の特徴があるが、実際の同定には自信が持てない。
苞は先が尾状になり2対あり、その下部の1対が大きい。萼片の長さは、2~3㎝。
この花には、草すべり~アナマに下る地点で数株に出会った。どの株も写真のように草むらの中で横たわっていた。
その姿は逆に、誰かが束ねてリボンでも付けた花束を草むらに差し込んだようだった。誰かからの贈り物のようだった。
海岸近く。小葉が10~16個で、クサフジに比べて葉の幅が広い。
花が釣鐘形、根がチョウセンニンジンに似る。淡紫色の花を下向きに付ける。花冠は長さ15~20mm、先端はやや広がり裂片は反り返る。
湿原、湿気のある草原。草丈80~130㎝。茎は太く直立する。
茎頂の枝分かれした枝先に穂状花序が垂れ下がる。花序は2~8㎝の円柱形、花は先から咲く。花弁なく萼片が白色。
草すべりと言われる急降下地点。登山道は砂礫地、疲れた体に緊張が追い打ちする。
それにして、日本海からの風をもろに受けるであろうこの地に、ナガボノシロワレモコウは、しっかりと根付いている。
ハマウツボ科 ハマウツボ属
キク科ヨモギ属への寄生植物。海岸や河原の砂地に生える。茎は太い円柱形で黄褐色。茎の上部に穂状花序を付け、淡紫色の花を多数付ける。花冠は長さ1.5~2㎝の唇形で、上唇は浅く2裂、下唇は3裂。
キク科 ヨモギ属
草丈は20~60㎝。葉は厚く卵形または長楕円形。長さ3~9㎝。 両面共にくも毛が密生し白色になる。
キク科 メタカラコウ属
北海道、本州福島、山形県以北。 草丈30~80㎝。茎の上部に散房状に5~9個の頭花。頭花は黄色で径4~5㎝。舌状花7~12個、筒状花の花冠は長さ27mmほど。
アナマから海岸に下りる。ここぞという登山道もなく、海岸線をただ歩く。
こんなところに決められた道等あろうはずがない。道草を楽しみながら30分。宇遠内に着く。
草丈3~8㎝、茎先に径1㎝の白色の花を一つ付ける。花弁は5、倒卵形で、花弁の先はややへこむ。
アキカラマツの変種で、海岸の礫地に生える。
キンポウゲ科 カラマツソウ属
再
ケシ科 ケシ属
これはおかしいぞと感じて、調べた人は偉い。これは〝リシリヒナゲシモドキ〟だそうである。姿形は何も変わらない?のに、本当のリシリヒナゲシは、利尻山山頂付近に自生し、固有種で絶滅危惧種に指定されているものというのだ。 偉い人達がDNA鑑定をした結果、別物だと分かったらしいのだが、どこがどこまで違うのかは、我々には分からない。山頂の厳しい条件の中で絶滅危惧に瀕しているものが、平地でのうのうと生きながらえるはずはないとでもいうことか。初めて、5月のツアーで利尻島を訪れた時に、海岸線の道沿いに大群生していた。自身は、これはおかしい等とは思いもせずに、夢中で撮影していた。そして、「やったぁ、利尻山に登らなくても〝リシリヒナゲシ〟に会えたぞ。」とはしゃいでいた。
リシリヒナゲシには、まだ出会っていない。