槍ヶ岳登山で出会った植物
中 編 二日目
表紙絵 小休止の先に槍ヶ岳
➄ 槍沢ロッヂ ~ ババ平 ~ 槍沢大曲り ~ 水俣乗越
スイカズラ科 ガマズミ属
近隣でもよく出会う。葉が亀の甲羅に似るので、見つけやすい。白色の小さな両性花のまわりに大きな5枚の花弁の装飾花が縁どる。
バラ科 シモツケソウ属
シモツケソウに似て大型。高さ1.5~2mにもなる。葉は、頂小葉は大きく15~25㎝になり、掌状に5裂する。花は白~淡赤紫色で散房状。
キジカクシ科 ギボウシ属
日当たりのよい湿った草原や湿原に多い。 漏斗形の淡紫~濃紫色の花を下向きに。
キジカクシ科 ギボウシ属
全国、分布域は広い。山地の草原や林縁。 草丈も葉も大型。花は白~淡紫色。
ユリ科 ツバメオモト属
奈良県以北の、山地~亜高山。 葉が万年青に、果実が燕の頭の色に似る。
カエデ科 カエデ属
葉は掌状に5~7裂、さらに裂片は羽状に切れ込む。6~7月、総状花序に淡黄色の花を咲かせる。
ニシキギ科 ニシキギ属
今年枝と前年枝の間から、1対の集散花序を垂れ下げる。その先に、花径8mmの暗褐色の花をふつう3個付ける。
キンポウゲ科 モミジカラマツ属
カラマツソウと似るが、属をことにする。 葉はモミジに似る。
バラ科 キイチゴ属
東日本に分布。近隣にはナガバモミジイゴ。 葉はモミジに似る。果実は黄色に熟す。
オトギリソウ科 オトギリソウ属
中部以北~東北地方、日本海型。オトギリソウの高山型。楕円形の葉全体に黒点がある。
101-8 槍ヶ岳 小休憩 ババ平~ .mp4ババ平を過ぎると雪渓が、 その脇に見え隠れする登山道を慎重に登る。 と、そこはもうお花畑。
バラ科 サクラ属
別名【ミネザクラ】を使用する図鑑もある。
101-9 槍ヶ岳 空の美しさに感激 .mp4
101-10 槍ヶ岳 大雪渓を登る .mp4イワウメ科 イワカガミ属
日本全国、山地~高山帯に分布し草地や岩場に生育する。葉は厚く光沢がある(鏡)。円形で縁に尖った鋸歯がある。花冠は径1~1.5㎝。漏斗状で5裂し裂片の縁はさらに避ける。花色は、淡紅~白色。歯の形態等から、〝コイワカガミ〟〝ヒメイワカガミ〟等とさらに細かく分類される。
スミレ科 スミレ属
再
積雪量の多い日本海側の山地~亜高山地帯に広く分布する日本特産で、変種も多い。近隣では、ダイセンキスミレが知られている。名前のとおり他のスミレと比べて葉が大きく、何となくバランスが悪く感じられる。掲載したものは、自身お気に入りのもの。
キンポウゲ科 イチリンソウ属
高山植物の代表種の一つ。日本固有種。中部~東北の亜高山~高山で雪解けと共に大群生する。花径3~4㎝の大きな花。5~7枚の花弁のように見えるのは萼である。花の中央に黄色い雄しべが密集し、雌しべは緑色をしている。
キク科 トウヒレン属
頭花の径は1.5㎝。暗紫~赤褐色で目立たない。頭花は、筒状花のみでなる。
フウロソウ科 フウロソウ属
中部(伊吹山)~東北地方。高山の雪渓周辺の草地に生える。
キンポウゲ科 キンポウゲ属
中部地方以北の高山~亜高山。雪解けと共に開花し、雪渓に大群落を作る。
バラ科 ダイコンソウ属
亜高山~高山の岩場や砂礫地に生える。黄色の径1.5~2㎝の5弁花。花は次々に咲くが結実も早く、全体が美しい期間は短い。
キク科 ウサギギク属
茎は単一直立。葉は対性でヘラ型。茎先に黄色い花を1輪付ける。
バラ科 キジムシロ属
高山の砂礫地・草地。鮮やかな黄色の径2㎝ほどの5弁花を咲かせる。
キンポウゲ科 キンバイソウ属
雪渓が解けたあとの草原に生える。花径3~4㎝の鮮やかな黄色の萼片が5~7枚付いており、花弁のように見える。
メギ科 サンカヨウ属
再
(再) 高山に行くほど花は遅い。当地では踏み込めない草地にゆったりと咲いている。遠望。こちらを向いて笑っている。
サクラソウ科 ツマトリソウ属
花弁の先にしばしば淡紅色の縁があり、それが鎧の威色目の一つである褄取りに似ている。納得。妻取りではない。
スミレ科 スミレ属
和名にスミレが付かない。黄花で、葉の形が馬の蹄に似る。湿った草地や沢沿い。
ユリ科 エンレイソウ属
一本の茎が伸び、その先に3枚の葉が輪生する。形は、丸みを帯びた菱型。葉の中心から花柄が伸び、小さな花を付ける。花弁はなく、3枚の緑~濃紫色の萼片を持ち、横向きに咲く。当地のものは花色に透明感があり美しい。やや大型?
ゼンマイ科 ゼンマイ属
山地~亜高山帯の草地~湿地に生える。高さ50~80㎝。若芽の頃は赤褐色の綿毛に覆われ、山菜としても利用されてきた。一度、前菜として食したことがあるが、おいしいとも思わなかった。
セリ科 カワラボウフウ属
茎頂か分枝した先端に径2.5~5㎝の複散形花序をつけ、10数個の小花序を付ける。小葉は広披針形~卵形。しかし、変異が大きい。同定は難しい。
バラ科 キイチゴ属
枝先に径2~3㎝で濃紅色の5弁花を一つ付ける。出会うとうれしい花。果実は球形で、紅色に熟す。おいしいが食べてはいけない。
キンポウゲ科 イチリンソウ属
なんとも、可愛い花。花茎5~15㎝。径1㎝の白色の5枚で、花弁状の萼片をもつ花を1個付ける。葉は根生葉と茎葉3枚が輪生する。
101-11 槍ヶ岳 槍が見える .mp4雪渓をぬけて休憩 これからお花畑とその先急登の岩礫地が待っている
バラ科 ダイコンソウ属
高山の雪渓多湿地に生える。枝は地面を這い群生する。雪解けと共に咲き、すぐに結実する。
ツツジ科 ツガザクラ属
枝先に花を下向きに付ける。萼片は広披針形で緑色。花冠の半ばまで達する。花冠は淡黄緑色。先が5裂する。
ツツジ科 ツガザクラ属
枝先に散形花序。2~6個の花を横向きに付ける。萼片は紅紫色。花冠は鐘型で薄い桃色。先は浅く5裂する。
キンポウゲ科 イチリンソウ属
再
(再) 個体数は少ないのか、出会うとなんだかうれしくなる花。
キンポウゲ科 オウレン属
花弁に見えるのは萼片で5枚、長楕円形。 花弁は黄色部分で蜜を分泌する。
サクラソウ科 ツマトリソウ属
再
(再) 花冠は七つに分かれて咲き、雄しべは7個、雌しべは1個
ゴマノハグサ科 シオガマギク属
中部地方以北の高山帯。湿地帯に生える。草丈20~50㎝。シダのような葉が茎の節ごとに4つずつ輪生する。北方に行くほど大型化し花色も鮮やかになる。レブンシオガマ等は同一種とは思えない。
ゴマノハグサ科 シオガマギク属
葉は三角状披針形。茎に互生する。葉腋に黄白色の唇形、横向きにねじれた花が、下から上に咲き上っていく。近年 シオガマギク属は、 ゴマノハグサ科 → ハマウツボ科 とするものも多い。
ここはもう、天空のお花畑 しかし、体力の消耗を感じる頃
ミズキ科 ミズキ属
再
(再) 前日林内で出会っている。生育地の範囲は広い。
イワウメ科 イワカガミ属
イワカガミの高山型。大きさ、鋸歯の数、花数などあるが、区別しないとする説もある。
スミレ科 スミレ属
再
(再) 北海道、本州中部以北、四国山地、屋久島の亜高山~高山帯の湿った草地、沢沿い。
バラ科 ナナカマド属
葉の両面は無毛で光沢がない。裏面は粉白色になる。枝先に複散房状花序を直立させ、白花を多数付ける。果実は赤く熟し果序は直立する。
バラ科 ナナカマド属
葉の表面は光沢があり、裏面は淡緑色で側脈が目立ち、側脈は縁の鋸歯に達する。花はやや紅色を帯びる。花も果実も下垂する。
キク科 ヨモギ属
頭花は花茎に総状に付く。花茎12~14㎜とヨモギ属としては大型で、半球形をしている。
整然と列をなし、団体登山のお手本のような写真。それも、ここまで。 もう、ここからは自分のペースで登るしかない。
槍ヶ岳はそこに見えているのに、歩いても歩いても近づけない。
アブラナ科 タネツケバナ属
高山の礫地に小さな株を作って生育する。葉は羽状に裂け、小葉は楕円形。花は茎の先に数個が密に付き、花弁は4枚で長さ4~6mmほど。
ベンケイソウ科 イワベンケイ属
葉は多肉質。6~8月に黄緑色の花を付ける。雌雄異株、雄株の花は黄色みが強く雄しべが目立つ。雌株の花は花弁が小さく、秋に結実する。
〝心臓が破れそう〟とはこの時のこと。休憩はしっかりとって自分のペースで。
ナデシコ科 ハコベ属
本州中部の高山の礫地に多く分布する。高さ5~20㎝。葉は細く3㎝ほど。5弁花の白い花を咲かせるが、真ん中に深い切れ込みがあり花弁は10枚に見える。
スミレ科 スミレ属
一見キバナノコマノツメに似る。スミレ属のキスミレ類には数種あるが、分布域や生育地を分けている。本種は中部以北の高山帯で、日当たりのよい砂礫地に生育する。花弁は黄色。唇弁はやや大きく紫色の線が入っている。葉に光沢があり質が厚い。
ツツジ科 ツツジ属
再
(再)ハクサンシャクナゲよりもさらに高地に生育するため、生育環境は厳しく樹高3~40㎝ほどにしかならない。黄花といっも白~淡クリーム色に近いが、蕾の頃に黄味が強いことなどから区別できる。葉の葉脈がくぼむ等の特徴もある。
ツツジ科 ミネズオウ属
茎は細く地面を這う。樹高10~15㎝ほど。枝先に散形状に2~5個の花を付ける。花冠は白~紅色で5裂している。径5mmほどと小さく、金平糖を思わせるかわいい花を咲かせる。 和名の蘇芳(スオウ)はイチイのこと。葉がイチイに似て高い峰に生える。
タデ科 ジンヨウスイバ属
高山の湿った岩礫地(写真)に見られる。高さ30~40㎝ほど、葉は長さ6㎝ほどの腎円形で、長い柄がある。分布は中部地方以北~北海道。自身、利尻山でも出会っている。
101-12 槍ヶ岳 この余裕 .mp4ユキノシタ科 ユキノシタ属
こんな岩場にも大きな株を作る生命力。茎の先に集散花序、2~10個の花を付ける。5花弁、花色は白~淡黄色で長楕円形、ふつう濃黄~紅色の斑点がある。
ツツジ科 イワヒゲ属
葉は鱗片状に重なって茎に密着し、ヒノキの葉のように見える。葉腋から花柄を出し立ち上がり、その先に下向きの花を1個付ける。花冠は白色で、長さ7㎜の鐘形、先は5裂し裂片は反り返る。あまり目立たない植物で、花が咲いていなかったら見過ごしてします。
イワウメ科 イワウメ属
花は乳黄白色でまれに淡紅色。枝先から伸びた花柄に一つ付く。合弁花だけど、平開すると5中裂するため、花弁が5枚に見える。
ツツジ科 コメバツガザクラ属
葉は茎に3枚輪生、革質で長楕円形、縁は裏面にまくれる。枝先に3個の花を付ける。花冠は白色で壺形、先端は浅く5裂する。
ユリ科 チシマアマナ属
花茎の先に1個の白い花を上向きに付ける。径1.5㎝の広鐘形。花被片は6個。
登頂、下山後のこの安堵。穏やかなひととき。やっばりビールでしょう
ゴマノハグサ科 シオガマギク属
高山植物としては珍しい一年草。本州中部地方~北海道の高山帯、砂礫地や草地に生える。山頂近い稜線に多い。高さは5~15㎝、茎の上部に唇形の紅紫色の花を10個ほど付ける。花期は7~9月と長い。
ベンケイソウ科 イワベンケイ属
再
(再)非火山性の低山~高山の岩場など厳しい環境で生育する。乾燥に強く、栄養に乏しい風当たりの強い岩礫、砂礫地に生育することができる。
よく似たホソバイワベンケイソウは火山性の山に生え、両者が混生することはない。
キキョウ科 ホタルブクロ属
本州中部地方以北、北海道に分布、高山帯の岩場や砂礫地に生える。しっかりと根付き、強風にあおられてゆれる様は力強い。花期は7~8月、花は青紫色。長さ4㎝ほどの鐘形で先が5中裂する。
キク科 ヤマハハコ属
本州中部以北、北海道の高山帯の乾いた礫地や湿った草地に生育する。高さ10~12㎝。雌雄異株で、雄花だけの雄株と両性花の株がある。花期は8月。頭花は筒状花だけで白色、下部が淡紅色になる。
キンポウゲ科 オダマキ属
高山性のものとしては栽培しやすく、園芸品種としても使われている。草丈は10~25㎝。茎の先端に数輪の花をうつむき加減に付ける。青紫色、萼片は広卵形で傘状に開き、花弁は円筒形で先端はやや白っぽい。