島根県川本町の春
イズモコバイモに会いたい
2022.03.24
自生地に着いたらユキワリイチゲはこんな状態。がっかりしていると、近所の方が「今日はよいお天気なので、11時頃から開花しますよ。」と教えてくれてホッとする。
ということで、30分ほど近隣を散策しながら春を見つける植物観察をする。
春早くから咲く花のひとつ。小さくて白花だからかあまり目立たないが、可愛い花だ。
根元から匍匐枝を出すので、ふつうは定着しにくいはずの傾斜地や崖等でも群生する。
キク科 フキ属
雌雄異株。花が白く花茎を伸ばし始めているので雌株の雌花と思われる。
スイカズラ科 カノコソウ属
花後に細長い走出枝を出して株を増やす。花期は4~5月。写真は幼苗。
早くから咲く。花茎先端の雄小穂は葯が多数突き出る。これがやや黄色みが強く、細長くて大きく、全体に黄色い房のように見え、小柄ながらもよく目立つ。
花期は4~6月。遅い春の中でも陽だまりに早め早めに芽を出したようだ。
よく似たニシノオオタネツケバナがあり、比して①茎は細く、➁側小葉に切れ込みが少ない。
名は、果実の形が雄犬の陰嚢に似ることによる。facebookを見ていたら、この花を「星の瞳」と言って話題を進めている投稿があって驚いた。違和感なくよい名前と思った。
花期は4~5月。葉腋から花が出て1~3個が並ぶ。花色は淡紅紫色でよく目立つ。今はポツポツと葉に隠れるように咲いている。
花期は3~4月。みつまたに分かれた枝の先に黄色の花を咲かせる。
一年枝の樹皮は和紙や紙幣の原料として用いられてきた。コウゾとともに栽培もされてきた。
葉は卵形or細長い心形だが変異が大きい。ナガバノモミジイチゴに似るが、葉にビロード状の細かい毛が生えていることで区別できる。
タチツボスミレに似て小型。➀茎はやや倒れ気味、➁葉は三角形で鋸歯があり、基部は切型or心形で葉脈が不明瞭等の特徴がある。花は淡紫色で1.5㎝と小さいが花弁の幅が広いこと等も見分けるポイントになる。従来はコタチツボスミレとされていた。
根生葉は丸いが、茎葉が細長くなる。花色はタチツボスミレより濃いものが多く、中心部の白色が明瞭。
葉脈や葉裏面が紫色を帯びるものが多い。托葉はタチツボスミレよりさらに深く切れ込む。
アオキ科 アオキ属
花期は3~5月。雌雄異株。写真はまだ蕾の状態。花房が大きいので雄株と思われる。(雌株は花房が小さく、また少し遅れて展開する)
ウコギ科 ヤツデ属
葉は掌状に深い切れ込みがある。実際には葉は8つに切れ込んで9枚に裂けているものが多い。花期は10~12月のためか、開花したものに出会う機会が少ない。
その他にもノアザミ、ハコベ類、ノイバラ等の幼苗を多数目にしたが、名前が思い浮かばないものも多く観察を中断する。ユキワリイチゲが開花するにはもう少し時間がかかりそうなので、次の目的地『イズモコバイモ群生地』に向かう。午前10時10分
島根県だけに自生するコバイモの一種で、山崖斜面などに一面可憐な花を咲かせる。今回、当地の方(世話人)から白花品種があることを教えていただき、6株ほど確認できてよかった。
032-川本町 イズモコバイモ.mp4 これが一年生葉。当地の方が、「世話をする時に、踏んだりぬいたりしないように細心の注意をはらっている。」と言われていた。
二年生葉。上の方では一年生葉も混じっている。葉を展開して球根(鱗茎)を太らせて次年につなげる。
2~3年生葉。生育環境(用土や採光など)によって生育に個体差が現れる。それでも大きく葉を広げ、さらに鱗茎を太らせる。まだ、花は付かない。
3~4年生葉。当地の方によれば、「開花するまでに5~6年。開花し結実したらその株は終わる」のようなことだった。草刈り等管理をしなければ生育できない希少種。白花品種にも会えたし、ゆっくり観察出来てよかった。
駐車場あたり。管理されていない所にヒメカンスゲとイズモコバイモ等が混生している。これが管理されていない自然な状態なのかもしれない。
キンポウゲ科 イチリンソウ属
「イチリンソウはまだ蕾だな」と思いながら撮影したものだが、今見るとイズモコバイモと混生していることが見てとれる。花期は4~5月。花茎は20~30㎝になり、径4㎝の花弁状の萼片を持つ花をふつう1個、花茎の先端に付ける。
スミレ科 スミレ属
花期は3中~5月。早くから咲くことと、➀花弁が波打つ感じで、➁花柄を伸ばさないので葉の上に乗っかかるように咲き、③葉はフタバアオイに似て丸い等の特徴が見られる。成長すると葉は大きくなる。
山地の林の下に生える。太い根茎をもつ。柄の長い3小葉を持つ葉を根生する。小葉の先端は切形になり、中央がへこむ。葉柄や葉の裏面、花茎や萼、苞には細かい軟毛が密に生える。
花期は3~4月。白い5枚の花弁の花を咲かせる。花の径は3~4㎝で、白い花弁に紫色の筋があるものもある。雄しべは10個あるが、そのうち5個は短い。雌しべの柱頭は5裂する。
低い山地の雑木林に生え、茎の先が3本の葉柄に分かれて、3枚の小葉が付く。春に淡紅紫色の錨形の花を咲かせる。
これらの写真は2009.03.26と04.12(13年前)に撮影していたもので、その後(今回も)当地で本種には出会っていない。絶えてしまったのかと気がかりである。
タチツボスミレ類で距が白いことが最大の特徴。花はやや大きめで、赤みが強い淡紫色。唇弁の紫色のすじが細かい網の目状になる。盛期になると、全体的にもっと大きく感じるようになる。
雌雄異株の雌株。赤い果実は前年に結実したもので、冬を越して5月頃まで残るものがある。花房は小さく、雄花より遅れて展開する。
花茎は前年枝の葉腋から出て垂れ下がり、一面に花が付き、花の少ない時期だけによく目立つ。花には0.5㎜の短い花柄があり、花は7~9㎜の鐘形になる。萼片は4個で内側の2個は大きく花弁状、花弁は4個で花時にも開出せず直立する。雄花は淡黄色、雌花はやや緑色を帯びる。雌花、雄花とも雄しべは8個、雌しべは1個あるが、雌花の雄しべは小さく退化していて極々小さい。
キブシ科 キブシ属
写真は雄株の雄花。雄しべがはっきりと見えることと、花序が長いことでも見分けることができる。
茎の先端に径1~1.5㎝の淡青紫色の総状花序を付ける。花期は4~5月で[5枚ある花弁の色は淡紅色から淡青色へと変化する。写真は初期のもの。
当地ではイズモコバイモに堪能した後でも、それ以外の植物も観察することが出来た。
また 川本町 市井原地区 ユキワリイチゲ自生地付近
再び『市井原地区』に戻ってきたら正午を過ぎていた。
山麓の崖や道端の山際に生育する。高さ20〜30㎝で地下茎で群生する。花弁状の萼片は淡紫色で径3㎝ぐらい、12〜22個ある。花期は3上〜4上。早朝や曇りや雨では開花しない。
032-川本町 ユキワリイチゲ.mp4