前々日夜、舞鶴港から新日本海フェリーに乗船。即、就寝。翌日、のんびりとした十数時間の船旅の後、夜遅く小樽港に着く。下船。行く当てもなく車で移動。疲れ切って『道の駅 花田』にたどり着く。車中泊。そして、目が覚めてからの花行動。
マメ科 センダイハギ属
本州中部以北。海岸に近い砂場に自生。宮城県仙台市以北に多い。名は、『仙台萩、千代萩、先代萩』と諸説。朝起きて、寝ぼけ眼に飛び込んだのがこの花。草むらのあちらこちらに、まとまって生える。その群生に驚いて目が覚める。
サクラソウ科 オカトラノオ属
全国。山中の湿地に生えるが、北海道では海岸に近い平地の道路や法面にも。湿地とは言えない。近隣では、鯉が窪で見られる。 茎の先端と葉腋に、多数の花を付ける。円錐花序。遠く目にカキランに似る。
マメ科 ミヤコグサ属
同科同属のミヤコグサに似て、ヨーロッパ原産。花がやや大きく数が多く、群生する様は豪華。それがどこまでも続く。圧巻。道路工事後の法面等に播種されることもあり、各地の道路や荒れ地に広がりつつある。
2010. 5.30 A
キジカクシ科 ワスレグサ属
ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)と同種。各地で別々に名前が付けられたため別名がいくつかあり、やや混乱気味。しかし、本種の場合、花柄が短いかほとんどなく、花弁が肉質で厚い(写真上)等の特徴がある。本州東北部から北海道に生育する。それにしても、移動中の車窓から、道路脇にいっぱい咲いているのが見えて、不思議な感じがする。湿原に生えるのと異なり。株元から見え立ち姿も美しい。なんど車を止めて見たことか。
キク科 ノコギリソウ属
ノコギリソウの亜種。北地の海岸の草地や砂地に生える。葉は中、深裂し、なるほど鋸状の鋸歯。草丈は30~70㎝ほど。茎頂に散房花序、径1.2~1.5㎝の頭花を多数、上向きに付ける。花色(舌状花)は紅色~淡紅色~白色と多様で、よく似たベニバナエゾノコギリソウ(これも花色多彩)があり、同定が難しい。
ナデシコ科 ウシオツメクサ属
ヨーロッパ原産の帰化植物。海岸近くの湿った砂地、空き地、道端等に生える。茎はよく分枝し、地表を這うようによく伸びる。葉は対性し線形でやや多肉質。花色は薄紅色。帰化植物とは思えないほど、まわりによくなじんでいる。よく似た同属のウシオツメクサやハマツメクサがある。これらにはまだ出会っていない。
セリ科 シシウド属
草丈1~3mと大型。直立した太い茎は上部でいくつもに枝分かれする。散形花序で、白い小さな花が集まって花序を形成し、それらが集まって大きな花序になる。道路から海岸線まで続く光景には、驚いてしまった。
オオバコ科 オオバコ属
ヨーロッパ原産の帰化植物。ほぼ全国に拡散。細長いへら状の葉を、水平から斜め上に放射状に伸ばす。その間から数本の茎をひょろひょろと伸ばし、先端に花穂を付ける。穂には小さな花が密生していて、下から上へと咲き上がっていく。細い糸に支えられて付き、白い輪のように目立つのは雄しべ。
マメ科 ルピナス属
アメリカ、地中海沿岸にあるものを改良、園芸種として栽培されるようになったもの。今では園芸店等で安価で大量に売られている。写真のものも、最初は誰かが植えたものと思われる。
2011.07.29 C
アヤメ科 アヤメ属
全国の湿地に群生する。茎は直立しその先に、青紫色の花を2~3個付ける。花の大きさは、12㎝ほどになる。写真下の〝ノハナショウブ〟に似る。花被片は6枚で、内被片は細くて直立し、外被片は垂れ下がり真ん中に白ないし淡黄色の筋模様が入る。ノハナショウブに比べて、原種的にはこちらの方がよく目立つ。
サロベツ原生花園では、やはり広々とした中でゆったり咲いている。
(調)カキツバタは、江戸時代の前半には品種改良が盛んにおこなわれ、多くの品種が生まれている。ハナショウブは、江戸時代後半から発展して、カキツバタはあまり注目されなくなった。しかし、現代では再びカキツバタの品種改良が進められている。カキツバタは、改良が難しいようだ。
モウセンゴケ科 モウセンゴケ属
よく知られた食虫植物。葉にある粘毛から粘液を分泌し虫を捕獲する。当分の間、この花の名前を知らなかった。モウセンゴケとこの花のイメージが一致しなかった。しかし、よく見ると下にモウセンゴケらしきものがピンボケで写っている。 写真(上)の飛んでいる昆虫は、その後栂池自然園で出会って撮影もしている。この昆虫は、粘液にはかからないのかしら。
ツツジ科 ツツジ属
北海道と東北地方に分布。亜高山~高山地帯の岩礫地や湿地に生えるが、当地は低地に近い。花期も終わりかけた頃のもの。ほとんどが果実となっている。図鑑上会いたかった花だったので、当時は「こんなもんなんか」と少々がっかりした記憶があるが、後々に友人との雌阿寒岳登山で再会した時は感激してしまった。
ユリ科 ギボウシ属
コバギボウシと同属で、変異の範囲であるとの考え方がある。湿原に合わせて、草丈がやや高く葉が大きいものが多い等が特徴。名のとおり、すっきりと立っているものが多い。
スイレン科 コウホネ属
本州東北地方の高山~北海道、沼地に生える。同属のコウホネは葉が水面から立ち上がるように付くが、ネムロコウホネは水面に浮かぶことが大きな相違点。花期7~8月に、水中の根から伸びる花柄の先に、径2~3㎝の黄色の花を1個付ける。黄色の花に見えるのは萼で5裂する。萼に包まれるように、中央に10個前後の柱頭が合着して盤状(柱頭盤)になり、そのまわりに多数の雄しべ、さらにそのまわり(下)に多数の花弁がある。なんとも不思議な世界。
バラ科 ワレモコウ属
北海道、関東地方以北の湿地か湿性の草原。花期は8~10月。高さ1mほどの茎の先に、長さ2~5㎝ほどの花を付ける。長いものは垂れ下がる。花は先端から咲き始める。花弁はなく、萼片は4枚で白色。雄しべは4個で長く白色、黒い葯が目立つ。
バラ科 キイチゴ属
北海道と本州北部。草丈は10~25㎝と短く、地下茎から花柄を立てる。キイチゴ属のものは低木になるものが多いが、本種は草本。雌雄異株。花は茎の先端に単独で生じ、白、ときに赤い斑点のついた花を咲かせる。果実はブルーベリー大、熟してない果実(写真)は赤く、秋になると琥珀色に熟す。食べるとおいしい。
漢字名の「詰草」は、1846年にオランダから献上されたガラス製品の包装に緩衝材(クッション)として、乾燥させたシロツメクサ等が詰められていたことによる。日本においては明治以降、家畜の飼料用として導入されたものが野生化したものである。また、根粒菌の作用により土壌の窒素を固定することから、地球を豊かにする植物として緑化資材にも用いられたり、雑草防止や土壌侵食防止等にも利用されたりしている。 (調)
マメ科 シャジクソウ属
帰化植物。花は球形花序で、白色後に淡紅色になる。アカツメクサ、シロツメクサに似る。アカツメクサとの違いは、➀草丈30~50㎝で直立または斜上する、②葉に三日月型の模様がない、③花のすぐ下に葉が付かない、④株に白、淡紅色の花が混生し成長した淡紅色の花序が大きい等が上げられる。
植物の存在を初めて知ったのは、2012年 8月に『野山の植物を楽しむ』の特別企画で立山室堂に行った時だった。講師の「今これが、こんな所まで進出している。高山植物にとっては困ったことだ」との説明が頭に残っている。
これを撮影した時は「やったぁ、シロツメクサの赤花品種じゃ」と騒いでいた。
ナデシコ科 ハコベ属
高さ50~80㎝、花径2㎝にもなる大型のハコベ。北海道では湿原にふつう。他秋田、長野県に隔離分布があるが、近年岐阜県等でも発見されている。花弁は5枚で、不規則にたくさんに裂けるのが特徴。豪華に見える。
マメ科 レンリソウ属
花期5~8月。北海道、本州中部以北の湿った草地や湿地。茎の高さは30~80㎝、3稜形で狭い翼がある。花は葉腋から伸びる花序に、長さ2㎝ほどで淡紫~淡紅紫色の蝶形花を総状に数個付ける。葉は羽状複葉、小葉は長楕円形、葉裏は粉白色、葉の先端に巻きひげがあり分枝する。
ナデシコ科 ハコベ属
草丈10~20㎝。茎は太く、葉は幅2~3mm、萼片は6~7mm。イワツメクサに似て、花や葉が全体に大きい。
名は、浜に生え熟した果実が甘酸っぱいので梨に例えて「ハマナシ(浜梨)」と名付けられたが、それが転訛して〝ハマナス〟になったとされる。別には、果実の形が梨に似て、同じように転訛したという説もある。
セリ科 ハナウド属
高さ1.5~2m、太くて中空。花期は5~9月、地域差。茎頂か分枝した先端に大型の複散形花序。花は白色の5弁花、花序の中央部と周辺部の花弁の形が異なり、外側の1花弁が大きく、2深裂して左右相称になるのが特徴。同定の難しいセリ科の中でも、わかりやすい植物。
キンポウゲ科 キンポウゲ属
北海道、関東地方以北の湿地。ウマノアシガタやミヤマキンポウゲと同属で、花だけ見ると酷似。艶のある5弁花の花を多数付ける。初めて見た時は、「なんと弱々しい、頼りないミヤマキンポウゲ」と思っていた。根元から出る匐枝(ふくし)の節から根を出して倒れたかのように繁殖する。「ハイ(這)」の由来でもある。
(注)北海道に酷似のオオミミナグサ(大耳菜草)があるが、そちらは、茎の色が赤褐色を帯びることが多い。