8月
岩樋山、道後山の植物
モウセンゴケに会いたい
2021.08.07
2020.08.19 2013.08.19
表紙絵 〝モウセンゴケ〟
006-8月-1 センニンソウ 岩樋、道後山 .mp4登山口も近い車道を走っている時に車を止めて撮影したもの
高さは3~7mになる。樹皮は表面が縦長な形に剥げ落ちて、その後茶褐色で滑らかになる。花期は6~8月。枝先の長い総状花序に多数の花を付ける。花弁は白く5裂する。
名は、若芽を茹でて水にさらし、山菜として食したことによる。
キンポウゲ科 サラシナショウマ属
08.19-2013
名は、花が釣鐘形で、根の形が朝鮮人参に似ることによる。日本全国。山野、山地の草原、林縁や草刈など管理された所に自生する。排水が良く、日当たりの良い所を好む。
キキョウ科 ツリガネニンジン属
09.19-2020
白花もあるが当地では見たことがない。東日本に多い。
名は、煎じて飲むとその効果がすぐ現れる「実際に効く証拠」というところからきている。
花弁は5、黄色、長さ4〜5㎜。 08.17-2021
よく似た〝キツネノボタン〟があって、従来は花柱の先端の曲がり方や茎の毛等が同定のキーになるとされていたが、最近ではそう果の稜がキーになるとされ、「キツネノボタンは片側に、ケキツネノボタンは両側に3稜がある」ことで区別するという。いずれにしてもルーペの世界で、自身にはどこのことかも分からない。そう簡単ではない。
前回岩樋山山頂近くの登山道で出会った。これは登山口近くに生えていたもの。高低差への対応力。苞葉に鋭い針状の鋸歯があるので、ママコナではないかと思うのだが・・・。分からない。
名は、葉がフキに似ていることによる。葉の先がとがり葉柄に狭い翼があるので見分ける。頭花はまわりに雌花、中心部に両性花があり、両性花は結実しない。花期は8〜10月。
やや湿った所に多い。葉は互生。花序は葉腋から斜上し紅紫色の花を数個付ける。花は長さ3~4㎝で花弁3個、萼片3個からなる。萼片も紅紫色で花弁のように見え、下の1個は大きく袋状になり、その先端は細長い距になってクルリと巻く。この距の部分に蜜がたまる。花弁は下の2個が大きくて黄色の斑点がある。
ツリフネソウ科 ツリフネソウ属
08.07-2021
花は茎頂や上部の葉腋に数個集まって小さな花を付ける。花弁はなく、萼は白色で5裂し、長さ約3mmほど。肉眼では観察ができないほど小さい。
今回、東屋に着く前の林内で出会ったフシグロセンノウ。(今のところ4地点で確認)もともと山地の林下等に自生するものなので出会って不思議はないが、山野草としては珍しい朱赤色の花に出会うと嬉しくなる。
名は、細長い花穂をタデ科のミズヒキに例え、花が黄色であることによる。花は下から咲き上がっていく。全国の低山や山地の道端や草地等にふつうに見られる。明るく湿潤な登山道で見るものは、花茎の分枝も多く大きく成長する。
山地の谷沿い等に生える。草丈40~80㎝。茎は細い。花は径5㎜で花弁は細い。萼筒は倒円錐形で萼裂片はそり返る。花数も少なく、ばらばらとした感じである。花期は8~9月。
クスノキ科 クロモジ属
果実は液果で、光沢がある球形。径5~6㎜で、9~10月頃に黒く熟す。果実の中に種子が1個入る。
ハイノキ科 ハイノキ属
果実はゆがんだ卵形で、長さ6~7㎜になる。この後、熟すと藍色がかった瑠璃色になる。林内をぬけたやや明るい所に生えている。
ゲンノショウコには白色系と紅色系とがあり、日本では富士川付近を境に東日本では白花が多く、西日本では淡紅花、日本海側で紅花が多く分布している。しかし、はっきりとした区分ではなく、近隣でも混生していることもある。
フウロソウ科 フウロソウ属
(再)
08.07-2021
08.07-2021
一旦林内をぬけて東屋(休憩処)に出ると陽光が当たるのか、ゲンノショウコ、シロツメクサ、ネジバナ、ウツボグサ、ムラサキサギゴケ等が季節に合わせて姿を見せる。
山野草では珍しい朱赤色の花を、分枝した茎の先にまばらに数個付ける。萼は2.5~3㎝の長円筒状で5裂。花弁は5個で長さ2.5~3㎝になる。
ビッチュウアザミ(備中薊) or ヨシノアザミ(吉野薊)
キク科 アザミ属
ヨシノアザミでもなくイズモアザミかもしれない等アザミ属の同定は難しすぎて手に負えない。
バラ科 ダイコンソウ属
花期もそろそろ終わり。集合果は径15㎜の球形で、痩果は紡錘形となり、先がS字状に曲がる。今年は、各所で出会った。
バラ科 キンミズヒキ属
(再)
キンミズヒキより小型で花数も少ない。花期は9月まで。もう少し楽しめる。
花期は8~10月。これから楽しめる。茎の先に花穂をだし、長さ2.5〜3.5㎝の淡黄色の唇形花を数段に付ける。
イチイ科 イチイ属
08.07-2021
山地に分布するが、多くは単独で林を形成することは少なく、暗い林の中で1、2本ずつがばらついて生える。当地でもこの木の他にもう一本が少し離れた所に同じように生えている。(自身、登山の目印にしている)
草丈は30~60㎝。斜上することが多い。花は茎の先や葉腋に1〜3個つき、上向きに咲く。花被片は紅紫色〜暗紫色の斑点があり、上半部は平開するが、ヤマホトトギスのようにそり返ることはない。花期は8〜10月。(明るい所では7月に咲くこと多い)
タムラソウ(田村草) アザミに似るが、刺はない。属を異にする。
キク科 タムラソウ属 参考 ☜
ハマウツボ科 ママコナ属
ゴマノハグサ科 → ハマウツボ科
08.07-2021
山地の草原や林縁で見られる。漏斗型の白色または淡紫色の花をやや下向きにつける。花軸に付く蕾は下部から上部へと開花していく。
本州関東地方以西と四国、九州に分布する。花期は7~9月。径2.5~3㎝の紅紫色の美しい花を咲かせる。別名シコクフウロ【四国風露】。愛媛県関係の植物図鑑や自然写真集、インターネットなどは、どれもイヨフウロとなっているから面白い。定着していないのかも知れない。
山地の乾いた草地や道ばたにふつうに見られる。高さ1〜1.5m。頭花は径1.8〜2.4㎝。舌状花は白色、数は少ない。
岩樋山山頂近くから遠望。やはりまだ誰も来ていないようだ。AM 9:10
これは、2020.10.15(前年)に『野山の植物を楽しむ』で岩樋山を訪れた時に、山頂から下山を開始した直後に登山道で出会ったものと同種と考えられる。
クルマバナは、花期が8~9月で、全国の日当たりのよい山野に多いもの。写真は、岩樋山山頂付近の笹(草)原の中で、かなり窮屈そうに咲いていた。
オトギリソウ科 オトギリソウ属
08.19-2021
シソ科 ウツボグサ属
08.07-2021
花期は6~8月だが、低地に生えるものはすでに花を終えて結実している。当地は寒冷で遅れて開花したものと思われる。
ススキノ科 ワスレグサ属
ユリ科 → ススキノ科
参考 305-16+05 ユウスゲ ☜
08.07-2021
花は夕方から咲いて午前中にしぼむために開花の状態に出会う機会は少ない。花期の半ばで結実したものも見られ、蕾も少なくなっているようだ。
花期は7~10月。長い間楽しむことが出来るが、当地では今が盛期かもしれない。花の傷みも少なく風にゆれる様がいい。
006-8月-5 カワラナデシコ 08秒 .mp4
006-8月-6 ツリガネニンジン 1分00秒 .mp4 ヤマハハコが東日本にあり、その西日本型とも言われる。ヤマハハコよりやや小型。上部でだけ枝分かれする。
岩樋山、道後山登山でコオニユリを確認したのは初めてだったので嬉しかった。山頂付近の笹原の中、10m程先に生えていたので遠望する。(笹原の中は怖くて入りたくない)
ユリ科 ユリ属
08.07-2021
全国に分布するが少ない。名はオニユリに似て全体が小さいことによる。花茎の高さ30〜60㎝。葉は線状披針形で多数つき先端は尖り柄はない。オニユリは葉の腋に珠芽(むかご)が付くが、コオニユリは付かない。花は茎の上部に2〜10個付き下向きに咲く。花被片は橙赤色で濃斑があり7㎝、強くそり返り雄しべが目立つ。花期は7〜9月。
006-8月-7 コオニユリ 1分00秒.mp4 この辺りでシラタマノキを撮影したが、写真の状態が悪くて掲載できない。花期は7~8月ということだが、開花している状態の写真がうまく撮られていない。よく似たアカモノとの相違点にも注意しながらの観察が必要。
岩樋山山頂付近からここまで下山する間に、掲載したものだけで、〝ツクシママコナ〟〝オオバギボウシ〟〝シコクフウロ〟〝シラヤマギク〟〝カワラナデシコ〟〝クルマバナ?〟〝オトギリソウ?〟〝ノアザミ〟〝ウツボグサ〟〝ユウスゲ〟〝ツリガネニンジン〟〝ホソバノヤマハハコ〟〝シシウド〟〝コオニユリ〟〝オオカメノキ〟〝ヤマツツジ〟〝ノギラン〟等々(17種)の植物に出会っている。ここは急勾配で一番の危険個所。それだけに、ゆっくりゆっくり下山しながら立ち止まりながら細心の注意を払いながら、それでいて出会いを楽しみながら下山する。お花畑を楽しむ、この一級品の贅沢。
岩樋山、道後山、下山道分岐。 画面左、道後山へ向かう。
08.19-2020
006-8月-2 笹の道 .mp4笹の間からも〝ヒヨドリバナ〟や〝ワレモコウ〟〝ノアザミ〟等が姿を見せる。
006-8月-3 ノアザミ .mp4 リョウブは初めての植物ではなかったが、なかなか腑に落ちる状態になれなかったもの。今年は「枝先に螺旋状にまとまって付く若葉をリョウブと同定し、この花序(花)と一致した」ことがよかった。
余談。図鑑等の説明によると、リョウブの『名は、昔、飢饉に備え、若葉を食料にするため、令にて植えさせたため。』のような説明がある。こういうのを読むと、自身はすぐに「令を出す側の人は本当に食べたのかな」と思ってしまう。たぶん、食べてないでしょう。
昔の国境の石塁に根付いたもの。すごい生命力を感じる。
果実は径5~6㎜の扁球形の核果で、8~9月に黄褐色に熟す。核果の外果皮はのちにはがれ、白い蠟質の中果皮が露出する。今年は同株を継続的に観察出来てよかった。葉は、晩秋に赤や黄色に紅葉するとか。それも楽しみ。
アジサイ科 アジサイ属
08.07-2021
果実はさく果。径3.5㎜の球形で、9〜10月に熟す。
ツルアジサイはやや明るい林内にも生えるが、当株は道後山に向かう笹原(草原)にある石塁に根付き、陽光を受けて力強く成長している。継続観察ができてよかった。
全国に分布する日本固有種で、山地の草原に生育する。草丈は60~90㎝で、葉は対生し羽状に裂ける。花期の8~10月にかけて紫色の花をつける。花は頭状花序で、花の大きさは径4㎝程である。
マツムシソウ科 マツムシソウ属
08.19-2020
08.07-2021
笹原の登山道では、露出した土に小さな株を点々とつなげている。
花期は6~8月。根出葉の間から高さ20~50㎝の花茎を伸ばし総状花序を付け、やや多数の花が付く。
花は下方から順次咲き上がる。花は目立たないが、拡大して見るときれい。
ユキノシタ科 チダケサシ属
08.07-2021
同定に不安
バラ科 ワレモコウ属
08.07-2021
日当たりのよい草原に生え、秋に枝分かれした先に穂を付けたような赤褐色の花を付ける。
低山地から亜高山にかけての日当たりのよいやや湿った草地に生育ししばしば群落をつくる。当地では、個体数は、そう多くはないような気がする。
山地の草原や湿地周辺の草地に生育する。 08.19-2020
道後山山頂 山頂は〝ホソバノヤマハハコ〟がいっぱい。
006-8月-4 ホソバノヤマハハコ.mp408.19-2020
ヤマツツジの返り咲きというより、遅れ咲きという方がよいか。道後山山頂の各所に点々と残っていた。一時の隆盛はないがつつましく咲いている。
花の数や大きさからいって〝キンミズヒキ〟だろうが、山頂に根付いたからか、登山道で出会ったものに比べると小さく引き締まった感じがする。きりっとして美しい。
当地での花期は6~7月で、5㎜ほどの釣鐘型の白い花を2~6個下向きに付ける。花の先端はつぼまり、5裂し、裂片は反り返る。果実は、白い玉状になる。
葉の形と集合果の様子からナワシロイチゴとしたが、今まで当地で出会ったことがないし、こんな高所にもあるのかと少し不安。驚いている。花も見てみないと何とも言えない。
今回は岩樋山山頂で初めて出会って喜んでいたら、道後山山頂でも出会って二重の喜び。どちらも一株だけ。ふたつの写真は同一株。光の当たり方で、こんなにも花色が変わる。
花期は7~9月。枝先に円錐状に花序を出す。花弁の色はやや赤みを帯びた白色で、3~4枚が反り返って丸まる。雌しべは長くまっすぐに伸びる。
全国の山野の道端に普通に見られる。草丈は20~80㎝になる。茎の上部は多少分岐して長さ10〜25㎝の長い花穂となり、まばらに花をつける。萼は唇形で時に腺毛があり長さ5〜6㎜、内面には環状に白毛がある。花冠は紫色〜青紫色で長さ10〜13mm、やや斜上する。
全国の冷温帯の山地帯の上部及び亜高山帯の林地に自生する。北海道や東北地方等の寒冷地では街路樹や公園樹として植えられる。
ハイノキ科 ハイノキ属
08.07-2021
果実でゆがんだ卵形。この後、長さ6~7㎜になり、熟すと藍色がかった瑠璃色になる。
スイカズラ科 タニウツギ属
08.07-2021
果実はさく果。長さ1.2〜1.8㎝の円筒形でかたい。10月頃熟すと上部が2裂して、長さ1㎜ほどの楕円形の種子を多数だす。種子の周囲には翼がある。
花期は7~8月。日の当たる林縁、草原、湿地、水辺に生える。花序は細長い円錐状で、分枝の間隔が開き側枝は短く最下以外の側枝は分枝せず花が密に付く。根出葉は、3回から4回の羽状複葉である。小葉の縁はやや不規則な重鋸歯。長い葉柄から3つに分かれ、それぞれが複葉の形となる。ユキノシタ科の同定も分かりにくいが、個人としては葉の形状は分かりやすい。
カヤツリグサ科 アブラガヤ属
花期は8~10月。花茎は高さ1~1.5m。全国の湿地に生える。名は、穂の色が油っぽく、また多少油臭い臭いがあることによる。
08.19-2020
果期は7末~10月。果実は長さ8~10㎜になる楕円形の核果で、最初赤くなり完全に熟すと黒くなる。中に種子が1個が入る。今年はこの木(ゴマギ)も継続観察が出来てよかった。今まで見てきたゴマギより、果実が早くからなくなっていることが気になる。
果期は8~10月。果実は長さ5~7㎜の球形または卵形の核果で、光沢がある暗赤色に熟しよく目立つ。中に種子が1個が入る核は卵球形。
花期は8~10月で、総状花序に長さ5~10㎝の花柄を出して多数の白い小花が咲く。花穂の長さは20~30 ㎝になる。花には両性花と雄花がある。花は花弁と萼片は早く落ち、長い雄しべが残って目立つ。花穂には特有の香りがある。
キンポウゲ科 サラシナショウマ属
再
08.07-2021
山地や野山にふつう。果実は集合果で、径1~3㎝の球形。9~10月に赤く熟して甘味があり食用になる。種子は、大きさ3㎜ の乳白色で1果に8粒入っている。
この辺りで、〝ズミ(酸実、桷)バラ科 リンゴ属〟の花を撮影した記憶をたよりに果実を探してみたが、確認出来なかった。
明るい林縁の環境を好む〝リョウブ〟は数多く見られる。
花に出会えてよかった。モウセンゴケそのものは、他の植物に覆われて見えなくなっていた。当地にモウセンゴケがあることは知っていたが、当地で花に会えるとは思ってなかったので嬉しかった。
モウセンゴケ科 モウセンゴケ属
08.19-2020
足元にはモウセンゴケが生えている。湿地に入れずやや遠望する。
まわりの植物に影響されず、すっくと立っている姿がいいと思う。
花期は8~9月で、濃紫色の深く5裂した唇形の花を茎の上部に総状に咲かせる。花びらは上下2唇に分かれ、上唇は鳥の翼のように2裂し、下唇は3裂する。萼は鐘状で先は5裂する。
茎先に複数の散形花序を出し、小さな白い花をたくさん付ける。花火が開いたように見える。 花弁は5枚で内側に曲がる。 雄しべは5本、雌しべは1本。
果実は緑色の無毛で径2~3㎝の球形。9~10月に熟す。キュウイフルーツは本種を改良したもの。果実の味も似ている。野生動物の食料として重要で、日本ではニホンザルやツキノワグマ等が好んで大量に摂食して種子散布に貢献する。
花期の5~6月頃、雄花と雌花の違いを確認しようとしたが、雌花の数はかなり少なかったように記憶している。
頭花はゆるい散房花序に付き、径2〜2.5㎝、総苞は長さ10〜11㎜、内片は線状披針形で、背に1〜2㎜の剛毛がある。小花は黄色、30〜34個ある。そう果は赤褐色で紡錘形、長さ3.5〜4.5㎜。冠毛は長さ6〜7.5㎜で早落性。
個体数は少なくないのに、あまり目立たない。しかし、林内の足元で見る姿は本当にかわいい。